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[本]人類が知っていることすべての短い歴史  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]人類が知っていることすべての短い歴史

人類が知っていることすべての短い歴史

ビル・ブライソンの科学書。巻末に索引が載っている辺りが専門書っぽいですが、読み物と思って良いです。

非常に面白い。専門的な知識がなくても読めるという点ではアイザック・アシモフの科学エッセイシリーズに似ていますが、著者の主観が少ないことやより新しく書かれていることから、現在と過去の科学をリアルに読み取れます。

この手の本を読むときには印象的な部分に付箋を貼るのですが、この本には大量に貼りました。その中からいくつか抜き出すだけでも本書の面白さが伝わると思います。

恐竜絶滅の原因として最有力とされるチチュルブのクレーター。それと同規模の隕石が地球に接近したとき、どの程度の前兆があるのか。「『ああ、たぶん何もないでしょう。熱を帯びるまでは見えないし、そうなるのは大気圏に突入してからです。そのときには、地球にぶつかるまで約一秒しかありません。』」

「今では、人間の遺伝子情報の断片を取り出し、不完全なイースト菌に”接ぎ木”すると、イースト菌がまるで人間の胚のように動きだすという段階まで来ている。きわめて現実的な意味で、それはまさしく人間の胚なのだ」

HIV、いわゆるエイズが蚊によって伝染しない理由。「蚊が旅の途中で吸い上げたHIVは、すべて蚊自身の新陳代謝によって消滅するからだ。いつの日かウィルスがそのやりかたを変えたら、それこそゆゆしきことになる」

このブログで紹介したことのある「眼の誕生」は、カンブリア紀に突如として多種多様な生物が誕生した理由を、「視覚」の発生に求めました。しかし本書では「とはいえ、悲しいかな、現在では、結局、カンブリア爆発がさほど爆発的でなかったことが判明している。カンブリア紀の動物は、おそらくその前からずっと存在していたが、小さすぎて見つからなかっただけではないかと考えられているのだ」

分厚くて3,000円。余裕で元が取れます。

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[本]魂の重さは何グラム?  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]魂の重さは何グラム?

魂の重さは何グラム?―科学を揺るがした7つの実験 (新潮文庫)

副題は「科学を揺るがした7つの実験」。

科学そのものの話題より、当時の科学者の思想や哲学を知ることのできる珍しい本です。科学入門書に多い「賢くなった気にさせてくれる本」ではないです。しいて言えば科学界の逸話集。巻末の解説に書かれているように「科学者がその時代の常識にしたがってしか仕事ができない」ことを伝えようとしています。

登場するのはガリレオ・ガリレイ、アイザック・ニュートン、トーマス・ヤング、ベンジャミン・フランクリン、ヴォルタなど、物理学を中心にした超有名人達です。最終形として表に見えるものは揺るぎない科学でも、その裏にいる科学「者」はやはり人間です。歴史的な発見が決して安産ではなかったことを教えてくれます。

注釈が異常に充実しているのも本書の特徴です。猫で有名なシュレーディンガーの逸話などはこの本の注釈ではじめて知りました。

シュレーディンガーが会議に出席するときは<彼は駅から出席者の滞在するホテルまで歩いていくのだが、すべての荷物をリュックサックにつめこみ、まるで浮浪者のようにみえるので、部屋に入る前にレセプションでずいぶんと言いあいをする必要があった>

科学的な視点から見た場合、正直、第一章の題材でタイトルにもなっている「魂の重さを量る実験」の結論には首をひねりたくなります。そういう意味では後続の章の内容も多少割り引いて読んだ方がよいのかな。有名な話ばかりだし間違っていないと思うんですけどね。値段も安い(\620)ですし、その辺りは是非ご自分で読んで判断してください。

[本]異端の数 ゼロ  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]異端の数 ゼロ

異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

新書版で話題になり、サイモン・シンが名著と挙げた本の文庫版です。副題は「数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念」。評判どおり面白い。

インドから生まれたゼロという概念が数学や物理学にもたらした様々な問題や宗教論争が、その発端から順序立てて書かれています。ゼロの性質で真っ先に思いつくのはゼロによる除算、Division by zero でしょう。この本もそこから話が始まります。話題の進め方がうまく、最後まで先を読みたくなります。

西暦ゼロ年が存在しないのは誤りだった。これだけだと頭に「?」が浮かぶわけですが、

注意してみれば、人々は普通ゼロから数え始めているということに気づく。ストップウォッチは0:00.00から時を刻み始め、一秒が経過してはじめて0:01.00に達する。車の走行距離計は工場から出てきたときに00000にセットされている。

この本が面白く読めるのは周辺知識が豊富に関わってくるからでしょう。数学は当然ながら、物理学や宗教、天文学、哲学など多彩です。文庫本としては比較的薄い本ですが、内容には厚みがあります。

微積分、虚数、複素平面、非ユークリッド幾何学など、理系嫌いには辛そうな概念がいくつも登場します。しかし何れも初歩的な話で分かりやすく書かれており、この本だけで理解することが出来るでしょう。個人的には、複素平面の原点に透明な球体を置き、その表面に描いた図形を複素平面上に投射する話が興味深く、かつ分かりやすかった。他の資料を当たらなくても済むのがこの本の良いところ。

[本]その数学が戦略を決める  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]その数学が戦略を決める

その数学が戦略を決める

著者は経済学者・法学者のイアン・エアーズ。

著者が推すのは「絶対計算」と呼ばれる計算手法。経験や直感に基づく専門家の予測より、純粋な統計による「絶対計算」の方が優れていることを多くの例で示します。「絶対計算」ではだれでも同じ結論に到達します。

序章のつかみから面白いので、ところどころ本文を摘みながら紹介しまます。

12.145 + 0.00116 × 冬の降雨 + 0.0614 × 育成期平均気温 - 0.00386 × 収穫期降雨

一見してなんだこりゃですが、これは序章「ワインの値段を方程式で予測する男」で紹介されているオーリー・アッシェンフェルターが導き出した「ワインの品質」を導き出す方程式です。単位はドルで、明快です。

これに対し伝統的な「口にふくんでは吐き出す」手法を取る専門家は大反発。世界で最も影響力を持つともいわれるワイン著述家 ロバート・パーカーは「まるっきりのペテン師でしかない」「映画そのものを観ずに、役者や監督をもとにして映画の善し悪しを語ろうとする映画評論家みたいなもの」と、彼を否定します。

しかし1989年、専門家が試飲するずっと前の段階で発表したオーリーの方程式による予測は、最終的には専門家の予測と一致します。さらにその翌年も、オーリーの方程式は驚くほど正確な予測を導き出しました。

その結果としてどうなったか。専門家たちはオーリーの方程式の威力を公式に認めたことはありませんが、今では専門家もオーリーの方程式に近い予測を出すようになっています。

とまぁこういった専門家が方程式に負ける話や、実際にいろいろな場面で使われている絶対計算の具体例が数多く紹介されています。

読み手を巻き込む話題も豊富です。これもまた楽しい。例えばほとんどの医師が間違えるという直感と統計との乖離の例題。最終章で紹介されています。

40歳の女性のうち、定期的な検査を受ける人の1パーセントは乳ガンにかかっています。乳ガン女性の80パーセントは、マンモグラフィで陽性を示します。乳ガンなしの女性の10パーセントも、マンモグラフィで陽性を示します。さて、この年齢グループに属するある女性が、定期健診のマンモグラフィで陽性となりました。この人が本当に乳ガンである確率はいくつ?

面白くて痛快、読み応えがあります。

[本]太陽系はここまでわかった  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]太陽系はここまでわかった

太陽系はここまでわかった

太陽系を、太陽も含めて内側から順に解説。平易で読みやすく、今のところ太陽系外を近傍から観測するのは遠い未来になりそうなわけで、現時点ではこの分野に焦点を絞った本として最適の一冊です。

ここ数十年の衛星による近傍探索によって、それ以前の数百年・数千年とはまったく違う宇宙の真実が分かってきています。比較的スパンは長いものの、「旬の本」と言ってよいでしょう。特に年齢が50代以上の人にとっては、子どものころに教わったり想像したりしていた太陽系と今の太陽系とではずいぶん違うはずです。

ラインナップは、太陽、水星、金星、地球 そして月、火星、小惑星、木星、土星、天王星と海王星、冥王星とカイパーベルト。数年前に冥王星は定義上「惑星」ではなくなりましたが、それに一章が割かれています。これは歴史的な流れを追って解説しているためです。

歴史に沿って詳細に解説されているとは言え、ガチガチの硬い解説ではありません。所々に著者の思いも込められており、それがページを繰らせます。例えば、ヴォイジャー1号が送ってきた土星の衛星タイタンの初の映像は、期待とは違い、また、かのカール・セーガンが「太陽系で最も重要」といった衛星だったにも関わらず、何の表面地形も見られないまったくののっぺらぼうの姿でした。

無人宇宙探査の歴史上、最悪の瞬間の一つだった。再び10億ドルを賭けたというのに、いったい何のためだったのか?わずか四年前、二機のヴァイキング宇宙船が火星に着陸し、微生物のような興奮させるものを何も見つけられなかったことを、人々は痛いほど覚えていた。

だた、そんな厳しい批判は適当でない。自ら行って見もしないのに、タイタンが期待外れだとどうして分かるだろうか? 楽天的な雰囲気に包まれた宇宙時代における最初のきらめきのなかでは、ちょっとしたつまずきに過ぎないのだ。ヴォイジャーは、そもそもこのような長期飛行が実現可能であることを見事証明し、その後のミッションを実現へと導いたのである。

巻頭の各惑星のカラー写真&イラストも豊富で、目で見ても楽しい本です。

[本]千年、働いてきました  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]千年、働いてきました

千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)

「老舗企業」とは? タイトルに千年とありますが、本書では創業100年以上の会社を老舗としています。

東京商工リサーチの150万社(執筆当時)のデータベースから創業100周年を超える企業を調べると、1万5千社を超えるそうです。実に1パーセント。個人商店や小規模な会社を含めると10万社以上と推定されているそうです。ちなみにその東京商工リサーチも会社概要を見ると創業が1892年、100年を超えています。

で、他国の状況はどうか。日本以外のアジアでは、100年を超える企業はほぼ皆無だそうです。韓国・北朝鮮はゼロ、台湾に地方銀行が1行、フィリピンにスペイン系・イギリス系の企業が数社。ヨーロッパに付いて本書でははっきりしませんが、創業200年を超える企業が入会を許されるエノキアン協会(wikipedia)に登録されている(ヨーロッパの)企業は20社ほどで、その中の最古の会社でも日本の最古の会社に遠く及ばない点、日本には200年を超える会社が100社近くあるという点が指摘されています。ヨーロッパで創業100年を基準にした数値は不明ですが、伝統工芸の会社なんか多そうですね。

老舗企業に共通するのは、何度も危機を向かえながらも時代の変化に柔軟に対応し、それを克服していることです。例えば銅鉱の精錬を本業としていた同和鉱業は、鉱山の廃鉱で危機に陥ります。しかし銅鉱の精錬技術で得た高温による廃油処理、土壌の浄化、携帯電話を精錬して希少金属を取り出すなど、劇的な変化でそれをプラスに転化しています。

なぜ日本がこのような「老舗大国」となったのか、その要因として著者は、職人を尊ぶ伝統的な精神とともに、日本が植民地化されていないことを挙げています。え?という感じですが、昨日まで影響があったけど今日からはないというような日があったわけでもなく、読んでみると納得です。

著者自ら各社の社長を尋ねインタビューを行っており、ただの考察やデータ集計になっていないのが本書の良いところです。最後の金剛組(wikipedia)の話は若干蛇足かなぁという感じはしますが、世界最古の会社に触れないわけにもいきませんよね。そう、現存する世界最古の会社は日本にあるんです。

日本を好きになれる本です。

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