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[本]本格小説  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]本格小説

本格小説〈上〉 (新潮文庫) 本格小説〈下〉 (新潮文庫)

水村美苗の恋愛小説。上下合わせて1000ページを超える長編です。

内容の紹介がなかなか難しい小説です。基本的に恋愛小説は苦手なのですが、この小説はハマりました。というか、これは恋愛小説なのかな? 小説全体から受ける印象はシドニィ・シェルダンに似ている気がしました。ストーリーはまったくシドニィ・シェルダンぽくないんですけどね。

途中に挿し込まれている写真が自伝のように感じさせます。書き方も実在の人物だと印象付ける部分が多く、思わずネットで検索しました。が、実際のところははっきりしません。登場人物の実在性については謎を残したまま終わります。

amazonのカスタマーレビューも高評価、集中して読める長編小説です。物語の世界にトリップさせてくれます。

[本]姑獲鳥の夏  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]姑獲鳥の夏

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

京極夏彦の長編推理小説。「姑獲鳥」は「うぶめ」と読みます。

舞台は戦後の東京。妊娠20ヶ月で精神不安定な娘、その夫は密室から失踪。友人の関口からその話を聞いた陰陽師の中善寺秋彦、通称「京極堂」は「この世には不思議なことなど何もないのだよ、関口君」と、その謎をひも解いていきます。

徐々に見えてくる人間関係とグロテスクな描写が怖いもの見たさをくすぐります。この小説の、というかこのシリーズの魅力は、主人公である京極堂の小気味良い会話にあると思います。600ページを超える長編ですが、大部分が会話から成り立っています。登場人物たちの人間像が程よいペースで見えてくるため、物語に入りやすくなっています。

普通の推理小説ではありえない、人の記憶を見ることができる探偵が登場します。そのため推理小説に不可欠なはずのトリックによる驚きはあまりなく、物理的な仕掛けはシンプルです。ネタバレしたくないので詳しくは書きませんが、仕掛けは人間の内面にあります。そういう意味では好き嫌いが分かれるかもしれませんね。しかしそれがこの小説を独特のものにしています。

推理小説好きには趣向の変わった一冊として、そうでない人には京極夏彦の最初の一冊としてお勧めです。

[本]ガープの世界  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]ガープの世界

ガープの世界〈上〉 (新潮文庫)
ガープの世界〈下〉 (新潮文庫)

ジョン・アーヴィングの代表作。アーヴィングは寡作ですが、その中で選んで読むならこれかホテル・ニューハンプシャーですね。

爆撃機の着陸事故により脳に損傷を負い、人としての理性を失ってしまったガープ三等軍曹と、その面倒を見ていた看護婦ジェニーとの間に生まれた子供 T・S・ガープ。成長したガープはやがて小説家を目指し成功、結婚、妻の浮気と子供の死、波乱に富んだ人生を歩みます。物語自体はわりと狭い範囲で進みます。

ガープが小説家を目指して成功することが大きな軸になっており、小説の中の小説が複数登場します。まったく趣の違うそれらの作中作のおかげで、上下2巻の長編にメリハリが付いて読みやすくなっています。それぞれの作中作も続編を読みたくなるほど良く出来ています。

グロテスクだったりシリアスだったりする部分が多いです。しかし注意して読むとその背後にユーモアがあります。演者自身は決して笑わない「真面目に滑稽を演じる」落語のような印象の小説です。うまいです。

[本]半落ち  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]半落ち

半落ち (講談社文庫)

第三の時効以来の横山秀夫の推理小説。

「妻を殺しました」と自首した現職警察官、梶聡一郎。素直に罪を認めて自白するのに、なぜか殺害から自首までの二日間の行動に付いては頑として黙秘する。その理由はなにか。話は六つの章に別れており、それぞれ彼の周囲の六人の視点から事件の真相に迫っていきます。

最後に明かされる理由は切ないものです。読後、精神的に尾を引く時間が長い。意外なトリックなどはありませんし、これを推理小説と分類するのは間違っているのかもしれません。推理を期待して読んでしまうとおそらく肩透かしくらうでしょう。しかし感動があります。

寺尾聰主演で映画化もされています。これは見たい。

[本]破獄  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]破獄

破獄 (新潮文庫)

実在した脱獄囚をモデルにした吉村昭の長編です。

青森刑務所、秋田刑務所、網走刑務所、札幌刑務所と、四度の脱獄を繰り返した脱獄王、佐久間清太郎(仮名)が主人公です。暴力的な手段ではなく、緻密な戦略と超人的な体力により脱獄を繰り返した実在する脱獄囚と、彼を閉じ込める側の人間との物語。佐久間が脱獄する理由は何か、完全に閉じ込められているはずの鎮静房からどうやって抜け出したのか。

罪人に感情移入させるのが狙いのためでしょうが、多少濁されているなと思える部分があります。本当のところは分かりませんが、小説化するにあたって佐久間にマイナスの部分は考慮されているのでしょう。主人公の内面が直接描写されることはなく、第三者からの視点で物語が進んで行きます。

登場人物はすべて仮名ですが、これが実在した人物たちの物語というのは驚きです。細かく描写されている時代背景も興味深いです。第二次世界大戦の前後、食糧難の中で囚人には一般人以上の食糧が配給されていたことなど、この本を読まない限り知ることもなかったでしょう。

時代背景の描写がやや冗長に感じますが、飛ばさずに読み進めることで深く感じられる小説です。

[本]楡家の人びと  このエントリーを含むはてなブックマーク はてなブックマーク - [本]楡家の人びと

楡家の人びと (上巻) (新潮文庫) 楡家の人びと (下巻) (新潮文庫)

北杜夫の長編です。北杜夫がどんな小説を書く人なのかも、この小説のジャンルも知らずに買いましたが、これは面白かった。

大正から戦後に掛けて、病院を営む楡家の人々とそこで働く人々の生活を描いています。おおよそ当時の人の一生程度の時間経過があります。病院を経営しているくらいなので比較的裕福な環境ではあったでしょうが、当時はおそらく一般的だったであろう人々の生活でしょう。それに戦争や関東大震災がはさまれることで大きなアクセントが効いています。時代のせいもあり、淡々と人が死んでいくのも特徴かもしれません。「え?死んじゃったの?」という展開があります。

個性の強い登場人物が多く、キャラクターが濃すぎて感情移入はし辛いのですが、第三者の視点で読んで楽めます。「楽しめる」というのは違うかな。「面白い」小説です。

上下巻で950ページほどあります。その長さを感じさせません。いわゆる「映像として記憶に残る」タイプの小説ではなく、絵画的な印象を受けました。三島由紀夫が絶賛したのも納得です。三島由紀夫はあまり知らんのですが。

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